【得意分野などのご紹介】

債権・不動産その他の資産の証券化・流動化、ファンドの組成、金融商品取引法への対応その他の金融法務、上場企業のコーポレート・アクションに関する助言その他の会社法務、株主総会対応、契約法務、労働者対応などを含む一般企業法務など、企業法務全般を手がけています。また、金融商品関係訴訟、会社関係訴訟など、紛争解決も得意としています。

特に、不動産証券化・流動化取引その他の不動産ファンド案件に関しては、不動産業界及び金融業界のいずれの当事者側からも関与し、また、紛争事案の経験も重ねており、多角的な視点からの検討・助言が可能です(注1)。

また、上場企業における企業再編・TOB対応を含むM&A取引等に関するコーポレート・アクション及びファイナンス・スキーム(SPCを用いたストラクチャリング、ファンド組成含む)の検討の経験も多数重ねています(注2)。

茨城県立水戸第一高等学校→中央大学法学部→弁護士登録(第二東京弁護士会),現在,三井法律事務所パートナー。

注1) 
・ 各種ビークルを用いた不動産証券化・不動産流動化スキームの組成に関する検討及び助言
・ 私募リートの監督役員
・ 格付けも付された国内公募不動産ファンドについて、公募不動産ファンドの投資家及び不動産取引を行った者からアレンジャーに対してなされた組成・仕組みに関する責任を問う損害賠償請求事件(アレンジャー側代理人)
・ 開発型不動産証券化案件について、請負人による開発の中止により特別目的会社に生じた損害の賠償を請負人に求める損害賠償請求事件(SPC側代理人)及び開発を中止した請負人から特別目的会社の取締役の責任を問う損害賠償請求事件(SPC取締役側代理人)
・ 外国籍投資信託を用いた公募型不動産ファンドについて、投資家からアセットマネージャー及びその役員、特別目的会社の取締役に対してなされた損害賠償請求事件(アセットマネージャー及びその役員、SPC取締役側代理人)
など

注2) 
・ 企業再編スキーム・企業買収スキームに関する検討及び助言
・ 公開買付けに関する検討及び助言
・ 上場企業におけるファイナンス・スキーム(デット、募集株式又は新株予約権の第三者割当、ライツ・オファリングなど)に関する検討及び助言
・ 新株発行差止め請求事件、検査役選任請求事件、委任状争奪戦に関する助言など

大阪地判平成18530日(金融商事判例第1252号第38頁、判例タイムズ第1250号第325頁)

(事案)
資産の流動化に関する法律に基づき設立された特定目的会社(TMK)に対し、原告Xら(「原告X」)が売主となって、特定目的会社(TMK)との間で不動産売買契約を締結したにもかかわらず、特定目的会社(TMK)における資金調達が実施されず、当該不動産売買が実行されず、契約は解除された。
原告Xらは、特定目的会社(TMK)の取締役が資産流動化計画の策定に関与しなかったこと等が取締役としての任務懈怠にあたるとして、取締役Y(「被告Y」)取締役の第三者に対する責任追及として、損害賠償を求めた。 

(判示事項:関係者名は修正、【 】は追記)
「結局、資産流動化計画の作成の主要部分はアレンジャー等の専門家に委ねることを前提としつつ、取締役が実際にどの程度それに関与すべきであるかは個々の特定目的会社の設立経緯や取締役の選任状況等によって異なるというべきであり、資産流動化計画の内容に関し、取締役に任務懈怠があるか否かの判断も、これらの点を考慮して事案ごとに判断するほかない。」
「本件では、前記のとおり、被告甲山は、従前の取締役であった乙川がA【アレンジャー】の関係者であり、倒産隔離の点から適当でないことから、被告会社の取締役に就任したこと、就任時期は、特定社員から本件資産流動化計画の承認を受ける約10日前にすぎないこと、同計画作成の実質的な作業(特定資産の購入や証券化のアレンジメント)はアレンジャーであるAが行ったほか、優先出資証券を取り扱い、社債引受予定者であるBも本件資産流動化計画の基本的構成の作成に関与していたこと、被告甲山の報酬は、年額75万円にすぎなかったことなどからすると、被告甲山は、資産流動化計画の策定に実質的に関与することは期待されておらず、本件資産流動化計画の実施を主たる任務として就任したものであることが推認できる。したがって、被告甲山が、資産流動化計画の作成に実質的に関与しなかったことが会社に対する任務懈怠になるとする原告らの主張は採用できない。」
「また、原告らは、本件資産流動化計画は、リスクの大きい第2号優先出資証券と資金調達の総額を減少させていれば資金調達は可能であったこと、Aのアレンジャーフィーが1610万円であるなど、アレンジャーであるAの利益を偏重していることなどの問題点があり、公認会計士である被告甲山であれば、そのような問題点は容易に分かり得るのに、資産流動化計画を変更しなかったことは任務懈怠であるなどと主張する。しかし、前記のとおり資産流動化計画の内容をなす発行証券については、投資者のニーズや市場状況等を考慮する必要があることや、優先出資証券の発行会社及び特定社債の総額引受会社として予定されていたBが優先出資の発行数、発行価額について関与していたことなどからすると、先に述べた経緯で被告会社の取締役として就任した被告甲山において本件資産流動化計画を変更しなかったことが同被告の任務懈怠になるまでの明白な欠陥があったとも認めることはできない。」
「原告らは、被告甲山が本件支払期日まで資金の調達をすることがなく、契約の履行をすることができなかったことは任務懈怠であるとも主張するが、本件支払期日までに資金の調達をすることができなかった経緯は、前記3(1)()本件資産流動化計画によると、被告会社の資金は優先出資37000万円、特定社債5億円によってまかない、それ以外の借入れは2025万円しか認められていなかった(乙1)。そして、優先出資の募集に係る事務については、Bが事務を行うことになっており、特定社債は優先出資が集まることを条件としていたところ(乙1、乙2)、優先出資の申込みが集まらなかったため、中央三井信託銀行は特定社債を引き受けなかった(弁論の全趣旨)。】のとおりであることや、取締役は優先出資の募集に係る事務を行うことは法律上禁止されていること(流動化法150条の2)に照らせば、資金調達ができなかったことをもって、被告甲山に任務懈怠があると認めることはできない。」

(コメント)
特定目的会社(TMK)の取締役の第三者に対する責任が論点となった唯一の公刊裁判例です。その後のリーマンショック以降、流動化・証券化絡みの訴訟が頻発し、特別目的会社の取締役の第三者に対する責任に関する判決も複数下されていますが、いずれも公刊されてはいないようです。
本裁判例は、特定目的会社(TMK)の取締役であるということのみで責任が回避されるわけではなく、取締役が実際にどの程度資産流動化計画の作成に関与すべきであるかは個々の特定目的会社の設立経緯や取締役の選任状況等によって異なるというべきであり、資産流動化計画の内容に関し、取締役に任務懈怠があるか否かの判断も、これらの点を考慮して事案ごとに判断するほかないとして、具体的な事案ごとに判断する旨を示しました。
※ 上記で引用される「流動化法150条の2」は特定目的会社の取締役又は使用人による資産対応證券の募集又は私募に係る事務を行うことを禁ずる旨の規定であるが、会社法・金商法の施行に伴い削除され、他の一項有価証券と同様に自己募集が可能とされている(資産流動化法第207条から第209条)。

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